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田螺坑土楼 (Tianluokeng Hakka Earth Building)
土楼建築巡りで、一番最初に訪れた村。
周囲の景観に溶け込みながらもインパクトのある佇まいは、南靖県に存在する数ある土楼建築群の中で、筆頭に値するほど非常に美しいものだった。特に方楼の歩雲楼を中心とした円楼の配置関係が、花を開いたかの様なかたちを連想させ、ここを訪れる者の目を楽しませてくれる。土楼建築としての規模こそ小さい方だと思うが、方楼や円楼、中には楕円楼といった客家建築の特徴や個性をそれぞれに持ち合わせており、少々乱暴な言い方かも知れないが、このひとつの村で土楼建築巡りがほぼ網羅できるといえそうなくらい、粒ぞろいの建築群である。
今この記事を書いていて思うのだが、この村へのアプローチの仕方がまず良かったのだと感じる。山深い道を延々と辿ったその先に、この雄大な景観がいきなり目の前に飛び込んでくる。眼下に木々の間から見え隠れする建築群を望みながら山を下り村に着く。間近にそびえ立つ個々の土楼を自分の目線に置いた時、建築を構成する素材のひとつひとつがより鮮明となり、このゆったりとした独特のスケールと雰囲気を持った建築が、ようやく自身の身体感覚と一致するようになる。例えようのない高揚感。山の高低差が更に相乗効果をもたらし、ひとつにとどまらない視線が奥行きを与える。実に絶妙な、小さな都市計画をみるようだった。 |